蜜月は始まらない
「危なっかしいから、もう転ばないように捕まえとく」



笑みを浮かべながらささやき、離せないよう繋いだ手の指先を絡めた。

華乃の顔がさらに赤くなる。

それでも諦めてくれたのか、困ったように眉を下げつつ「もう」とつぶやいただけで抵抗はしなかった。

自分から繋いだくせに、きゅっと控えめに握り返されると内心驚いて鼓動が速くなる。

けれどそれ以上にうれしく思い、俺もさらに握った手に力を込めた。

その後も池の周りを散策したり、たまたま来ていた大道芸人の見事なジャグリングを観覧しているうち、穏やかな時はあっという間に流れていく。

気づけば、時刻は16時を過ぎていた。次の予定のためそろそろここを出なければと、華乃に声をかけて車へと戻る。



「途中1箇所寄り道して、そこから40分くらいで着くから」

「うん、わかった」



華乃が希望した公園を出たあとのプランは、俺に委ねてくれるようあらかじめ伝えてあった。

彼女がシートベルトを装着したのを確認して話しかけると、どことなくワクワクした表情でうなずく。

この期待を裏切ることなく……果たして、彼女はよろこんでくれるかどうか。

内心少しだけ不安に思いつつ、ハンドルを操作して車を走らせた。
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