蜜月は始まらない
善意で匿ってくれる……ただでさえ迷惑をかけてしまう相手に、適当な事情は話せない。
さすがにそう考え、根本さんが住むこのご実家に来た時点で、私はお見合いから今日までの詳細を正直に吐露していた。
起こった出来事だけじゃない。私が抱いている気持ちも、すべてだ。
部屋着らしいパーカーとショートパンツ姿の根本さんは、相変わらずののんびりした動作でミルクティーをすすった。
「たぶん、あなたたちふたりの間に足りていないのは会話です。ちゃんとお互い腹割って話し合いましょ?」
「腹……む、無理無理無理。割るどころかぷにぷにだし、私のおなか」
「えー? 花倉さん全然イケてますよー?」
話が脱線しているにも関わらず、根本さんは気にすることなく言葉を返してくれる。
現実逃避しても仕方ないので、私は自分で本筋に戻した。
「話、したら……私の気持ち、バレちゃうよ……」
「それでいいんですよ。というか、そこは言わなきゃいけないとこです」
同じ職場で働く年下の先輩が、マグカップ片手に真面目な顔で私を諭す。
「隠れ蓑とか奥さん役とか、それってぜーんぶ花倉さんの想像でしょう? 実際はちゃんと、愛がある関係かもしれないですよ」
「愛、って……そんな、まさか」
「そのまさかが起こっちゃったりするのが、恋愛の醍醐味ってやつなんですよぉ」
ぴっと私に人差し指を向けて、真顔のまま根本さんがそんなことを言う。
「傍から聞いてれば、花倉さんたちはただのラブラブカップルです。四の五の言わず本当の気持ち伝えて、さっさと本当の夫婦になってください」
……そんなこと、言われても……。
すっかり困りきってしまった私は、無言でミルクティーに視線を落とす。
ラブラブカップル? そんなわけない。
あんなに美人でスタイル抜群のモデルさんと私じゃ、まさに月とスッポンだ。
比べるまでもなく、誰だって月を選ぶ。
さすがにそう考え、根本さんが住むこのご実家に来た時点で、私はお見合いから今日までの詳細を正直に吐露していた。
起こった出来事だけじゃない。私が抱いている気持ちも、すべてだ。
部屋着らしいパーカーとショートパンツ姿の根本さんは、相変わらずののんびりした動作でミルクティーをすすった。
「たぶん、あなたたちふたりの間に足りていないのは会話です。ちゃんとお互い腹割って話し合いましょ?」
「腹……む、無理無理無理。割るどころかぷにぷにだし、私のおなか」
「えー? 花倉さん全然イケてますよー?」
話が脱線しているにも関わらず、根本さんは気にすることなく言葉を返してくれる。
現実逃避しても仕方ないので、私は自分で本筋に戻した。
「話、したら……私の気持ち、バレちゃうよ……」
「それでいいんですよ。というか、そこは言わなきゃいけないとこです」
同じ職場で働く年下の先輩が、マグカップ片手に真面目な顔で私を諭す。
「隠れ蓑とか奥さん役とか、それってぜーんぶ花倉さんの想像でしょう? 実際はちゃんと、愛がある関係かもしれないですよ」
「愛、って……そんな、まさか」
「そのまさかが起こっちゃったりするのが、恋愛の醍醐味ってやつなんですよぉ」
ぴっと私に人差し指を向けて、真顔のまま根本さんがそんなことを言う。
「傍から聞いてれば、花倉さんたちはただのラブラブカップルです。四の五の言わず本当の気持ち伝えて、さっさと本当の夫婦になってください」
……そんなこと、言われても……。
すっかり困りきってしまった私は、無言でミルクティーに視線を落とす。
ラブラブカップル? そんなわけない。
あんなに美人でスタイル抜群のモデルさんと私じゃ、まさに月とスッポンだ。
比べるまでもなく、誰だって月を選ぶ。