蜜月は始まらない
錫也くんが入浴する前に、タオルのしまい場所などを直接教えてくれる。
私のために新品のものをいくつか用意してくれていた。その気遣いがありがたくて申し訳ない。
「それじゃあ、ゆっくりしてあったまってね」
言いながらそそくさと脱衣場を出ようとしたら、後ろから「華乃」と呼び止められた。
この狭い場所にふたりきりは緊張するから、早いところ退散したいのに!
ドアの前で振り返った私と、どこか意地悪そうに口もとを緩めた彼の視線が交わる。
「せっかくだし、一緒に入るか?」
「は……」
一瞬、ポカンとしてしまう。
けれどすぐに私は猛然と否定した。
「はっ、入らないよ!!」
「そうか」
こちらの動揺なんてお構いなし。彼は涼しい顔をしてあっさりうなずいた。
けど、私は気づいている。彼が今、ものすごーく笑いを堪えていることに。
……お風呂に一緒に入るか、なんて。冗談にしても、あんまりな発言だ。
ドキドキさせられるの、もう、今日で何度目?
ひいら……錫也くん、自分の破壊力わかってる?
熱くなってしまった頬を隠すように、くるりと反転。
私は今度こそ脱衣場をあとにし、ドアを閉めてしまう。
私のために新品のものをいくつか用意してくれていた。その気遣いがありがたくて申し訳ない。
「それじゃあ、ゆっくりしてあったまってね」
言いながらそそくさと脱衣場を出ようとしたら、後ろから「華乃」と呼び止められた。
この狭い場所にふたりきりは緊張するから、早いところ退散したいのに!
ドアの前で振り返った私と、どこか意地悪そうに口もとを緩めた彼の視線が交わる。
「せっかくだし、一緒に入るか?」
「は……」
一瞬、ポカンとしてしまう。
けれどすぐに私は猛然と否定した。
「はっ、入らないよ!!」
「そうか」
こちらの動揺なんてお構いなし。彼は涼しい顔をしてあっさりうなずいた。
けど、私は気づいている。彼が今、ものすごーく笑いを堪えていることに。
……お風呂に一緒に入るか、なんて。冗談にしても、あんまりな発言だ。
ドキドキさせられるの、もう、今日で何度目?
ひいら……錫也くん、自分の破壊力わかってる?
熱くなってしまった頬を隠すように、くるりと反転。
私は今度こそ脱衣場をあとにし、ドアを閉めてしまう。