デキる女を脱ぎ捨てさせて
「本当に倉林の家から出てしまうんですか?」
母とは「またお話しさせてください」と、言い残して私たちは帰路に着いた。
車に乗り込んで車を停めたまま話す。
聞きたいことは山ほどあった。
私の母と崇仁さんのお母さんが知り合いどころか親友だったらしいことをどこで知ったのか……というよりどこで気がついたのか。
昔から『佳子』という女性のことは知っていたようだった。
それが私の母だとどのように知ったのか。
そして何より母の小言のせいで彼が家を出ることになるなんて、どうかしてる。
しかも、ただ出るだけじゃなく倉林を捨てるという。
私の戸惑いの方が当然だと思うのに、彼はさも私の方がおかしいことを言っているような顔をして質問を向けた。
「どうして?
倉林じゃなくなった俺には用はない?」
「そんなこと……。」
「ハズレの方だとしても腐っても倉林だからって?」
「もう!ご自分を虐めるようなことをおっしゃらないでください!」
「ごめん。」
肩を竦めた彼は私から目を背けてしまってどんな表情をしているのか分からない。
けれど、きっと彼は今まで『倉林』に散々振り回されて来たのだろう。
寂しそうな背中をギュッと抱きしめたい衝動に駆られた。
私はそれらをゆっくりと言葉にした。
母とは「またお話しさせてください」と、言い残して私たちは帰路に着いた。
車に乗り込んで車を停めたまま話す。
聞きたいことは山ほどあった。
私の母と崇仁さんのお母さんが知り合いどころか親友だったらしいことをどこで知ったのか……というよりどこで気がついたのか。
昔から『佳子』という女性のことは知っていたようだった。
それが私の母だとどのように知ったのか。
そして何より母の小言のせいで彼が家を出ることになるなんて、どうかしてる。
しかも、ただ出るだけじゃなく倉林を捨てるという。
私の戸惑いの方が当然だと思うのに、彼はさも私の方がおかしいことを言っているような顔をして質問を向けた。
「どうして?
倉林じゃなくなった俺には用はない?」
「そんなこと……。」
「ハズレの方だとしても腐っても倉林だからって?」
「もう!ご自分を虐めるようなことをおっしゃらないでください!」
「ごめん。」
肩を竦めた彼は私から目を背けてしまってどんな表情をしているのか分からない。
けれど、きっと彼は今まで『倉林』に散々振り回されて来たのだろう。
寂しそうな背中をギュッと抱きしめたい衝動に駆られた。
私はそれらをゆっくりと言葉にした。