デキる女を脱ぎ捨てさせて
「西村さんもついてきて。」

「はい。」

 今日は議事録を取ることがあるのかもしれない。
 本社へ行くのは初めてだし、出張について行くのも初めてだ。

 前に本社へ出張に行った彼から膨大な資料を持ち帰られた時に「次は私も同行させてください。倉林支社長一人の仕事量じゃないと思います」と言ったことがあっての今回だと心得ていた。

「準備が出来たら社用車まで。
 私は松嶋工場長と話してから行くから……そうだな。ちょうどリフレッシュ休憩が終わったくらいに駐車場に来てくれないか。」

「はい。かしこまりました。」

 今回は社用車で行くんだ。
 新幹線の方が彼への負担も少ないだろうけど、急だから新幹線では間に合わないのかもしれない。

 本社の立地は良くても、こちらの山野支社の立地は悪い。

 車で行った方が融通は利くだろうけど……。
 帰りは有無を言わせずに運転させてもらおう。

 そんなことを心に決めて休憩室に行くと松山さんと河内さんが先にいてコーヒーを飲んでいた。

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