御曹司は眠り姫に愛を囁く
「貴崎さんには本当のコト話しておこうと思って・・・だから…俺は君の想いには応えられないんだ。だから、できれば、陸翔とよりを戻して欲しい」

「それは出来ません・・・私が椎名さんの想うキモチは変わりません」

「どうして?俺のコトを想っても、俺は君以外の女と結婚する・・・」


そうだと分かっていても、簡単に椎名さんに対する想いを捨てられない。

「俺は君に冷たくしたら、俺を嫌いになってくれるかと思ったけど。それは、俺のルールに反するし、正直に話して、諦めて貰おうと思った・・・それでも、ダメなの?君は何?一生、俺を想い続けて、生きていくの?」

「・・・それもいいかもしれません」

柘植社長が亡くなった真澄さんを想い続けたように。
私も椎名さんを・・・



「馬鹿だな・・・貴崎さんは・・・」

「馬鹿でも構いません。
自分のキモチに素直になって生きていられるのだから・・・」

「素直なキモチか・・・俺と違って、
君には何もないから…そう言えるんだよ!」


椎名さんは私に大声で吐き捨て、自分の置かれた立場を悲観した。

「すまない・・・」

椎名さんは追いついた私から逃げるように早足で階段を駆け下りて行った。





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