御曹司は眠り姫に愛を囁く
偽りの愛の光
週明け。

「貴崎さん」

須藤さんが私をミーティングルームに連れ込んだ。
彼の少し悩まし気な表情。
仕事の話ではなさそう、私は直感で汲み取る。

「椎名さんのコトですか?」

「君は瑛の隣に住んでるよな。瑛に会うコトあるよね。話はするの?」

「土曜日、少しだけ話をしました・・・」

「瑛の秘書の室雨君に瑛が自暴自棄になって、夜な夜な会員制ラウンジで女を漁ってると訊いてね・・・どうすればいいかと相談されて・・・悩んでいるんだ」

「そうなんですか・・・」

あの美樹さんもその会員制ラウンジで知り合った女性だろうか。

「その会員制のラウンジってどこにあるんですか?」

「赤坂の『プラチナプラザホテル・赤坂』の最上階だ。『プラチナ』と言う高級ラウンジだ。そこは富裕層向けの場所で、会員も制限されている。普通の人間では入れない」

「でも、須藤さんなら、入れますよね」

「入れるけど、女を手当たり次第ナンパしてる瑛の所には君を連れていけない。全く、アイツは何を考えているんだ?」

須藤さんも今の椎名さんにはお手上げだった。


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