御曹司は眠り姫に愛を囁く
自分は令嬢だと言って、何れは見合いで結婚すると言う。
だから、俺への想いを断ち切れるように自分を傷つけて、嫌いにさせてくれと懇願した。


俺は彼女への想いを心の中の小箱に鍵をかけて封じて、酷い男を演じる。

彼女の唇に何度も口づけをして、肌に触れた。



仄暗い室内に響く彼女の嬌声。

ずっとこの腕の中に抱き締めたかった彼女を今抱き締めているのに、俺の心は絶望の暗闇の中。
でも、カラダは欲望のまま、彼女との悦楽に溺れていた。


そして、俺達は共に脳裏に白い閃光を弾けさせ、果てる。


互いに焦点の合わない瞳で見つめ合い、何も言わなかった。

心は満たされないけど、カラダは他の女性以上に満たされた。










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