御曹司は眠り姫に愛を囁く
このまま、彼女を優しく腕の中に引き込み、『愛してる』と言いたい衝動に駆られたので、慌てて上体を起こし、背中を向けて、煙草を吸った。
紫煙と共にその想いを吐き出す。

こうして、彼女のカラダだけを求めて、捨てる・・・

それが俺のイメージした酷い男。

そして、俺も彼女も他の人と結婚して、違うレールの上を歩ていく。


俺が本心を告げて、
『椎名家』を捨てればいい話なのかもしれないが、出来なかった。


睡魔に預けて就寝した。
でも互いに背中合わせ。
俺達は互いの欲望を満たすだけの関係だから・・・

明け方、俺は喉の渇きで目を覚まして、ベットから出てキッチンでミネラルウォーターを飲んだ。

ベットに戻ると彼女は規則正しい寝息をつきながら眠る。その彼女の頬に触れると肌が渇いていた。

涙の痕だろうか?


やはり、彼女は無理していた。

最初から、遊びでセックスできるような女性じゃないと理解していた。
それでも、俺は彼女を抱き締めた。

それが彼女の望みだったから・・・そして、これからも・・・








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