World End 〜七情の泉〜
_もう…ここ何処……?


翼はため息を吐きながら床にぺたりと座り込んだ。


灯りが全くないわけではない。微かに見える外灯は見えたが、それだけでは景色は良く見えなかった。遠くにも灯りが見えたが、やはり景色はよく分からない。


_きっと夢の中。 それならこの状況を思い切り楽しむのもいいかもしれない。


翼は立ち上がると、拳を作りヨシッ!と気合を入れた。


見上げるほど高く幅のある両開きの扉に手を掛け、勢いよく両扉を押し開いた。ツヤツヤに磨かれている廊下に一歩、また一歩と足を進めた。どちらに進もうかと右を見ると、驚いた顔をした男性が立っていた。左を見るとそこにも驚いた顔をしている男性が立っている。


2人とも上下黒の制服を着用し、詰襟には金色の紋章を付けている。胸ポケットには紋章の模様と同じ刺繍が施されている。ベルトに通している劔。その鞘の先に施された銀色の金具がキラリと光る。



「「き、きゅ、救世主さま__!!!!」」



2人の声が重なった。


翼は戸惑いながらも自分で自分を指差した。



「それって…私のこと……じゃないよね?」

「へへへ陛下にご、ご報告を__っ」



_この夢どういう設定!?



「救世主さま、どうぞお部屋にお戻り下さい」

「え? いや、あの、でも__」

「巫女様、魔導士長、元老院の皆様にもご報告を頼む!」



なんか大ごとになりそう……そう思った翼はつま先で床を蹴り、走り出した。





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