World End 〜七情の泉〜
翼と歳の変わらないリタだが、家の事情で学校を退学し働きに出ているせいか、落ち着きが違う。
「救世主様がどんな方なのか勿論存じず、粗相をしては職を失うかもしれない…そう思うと中々志願できる者はおりませんでした。 ですが、この混沌とした世界を救って下さるお方ですから、私は精一杯お世話をさせて頂きたく思ったのです。 私では力不足なのは重々承知しておりました。 それでももしかしたら……父をっ、救って頂けるかもしれない……そう思うと、誠に勝手ながら志願せずにはいられませんでした」
必死に話をするリタの目元には涙が光る。流さないようにと一生懸命堪えている。心の底からの嘘偽りの無い言葉が胸に響く。
リタの手によってフリルのついた真っ白なエプロンがシワになっている。震えている事にも気付かない程余裕が無いのだろう。
翼は震える拳にそっと触れた。
「しわくちゃになっちゃうよ」
「も、申し訳ありません__!」
パッと手が緩まった。
「あははっ! 何で謝んの? 謝ることなんてないじゃん。 色々話しにくいこと話してくれてありがとう」
「ツバサ様……」
「私ほんとにこっちの常識とかマナーとか全然分かんないからさ、面倒臭いだろうけどその時その時で教えてくれる?」
昔から暗い雰囲気が苦手な翼はあえて明るい口調で話をした。思いっきり笑うと、リタもつられるように頬をあげた。
「畏まりました。 その都度お教えいたします」
「ありがと!」
「この世界の生活で不自由なことや分からない事がございましたら、遠慮なく仰ってください」
冷め切ってしまったカモミールティーを入れ直してもらい、飲み直した。温かい飲み物はあまり得意では無かった筈が、何故かしっくりきた。
カモミールティーのおかげか、その日はぐっすりと眠ることができた。
「救世主様がどんな方なのか勿論存じず、粗相をしては職を失うかもしれない…そう思うと中々志願できる者はおりませんでした。 ですが、この混沌とした世界を救って下さるお方ですから、私は精一杯お世話をさせて頂きたく思ったのです。 私では力不足なのは重々承知しておりました。 それでももしかしたら……父をっ、救って頂けるかもしれない……そう思うと、誠に勝手ながら志願せずにはいられませんでした」
必死に話をするリタの目元には涙が光る。流さないようにと一生懸命堪えている。心の底からの嘘偽りの無い言葉が胸に響く。
リタの手によってフリルのついた真っ白なエプロンがシワになっている。震えている事にも気付かない程余裕が無いのだろう。
翼は震える拳にそっと触れた。
「しわくちゃになっちゃうよ」
「も、申し訳ありません__!」
パッと手が緩まった。
「あははっ! 何で謝んの? 謝ることなんてないじゃん。 色々話しにくいこと話してくれてありがとう」
「ツバサ様……」
「私ほんとにこっちの常識とかマナーとか全然分かんないからさ、面倒臭いだろうけどその時その時で教えてくれる?」
昔から暗い雰囲気が苦手な翼はあえて明るい口調で話をした。思いっきり笑うと、リタもつられるように頬をあげた。
「畏まりました。 その都度お教えいたします」
「ありがと!」
「この世界の生活で不自由なことや分からない事がございましたら、遠慮なく仰ってください」
冷め切ってしまったカモミールティーを入れ直してもらい、飲み直した。温かい飲み物はあまり得意では無かった筈が、何故かしっくりきた。
カモミールティーのおかげか、その日はぐっすりと眠ることができた。

