政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

「うちには尋(ヒロ)がいる」

「ジン坊には無理じゃないかぁ?」

 眉をひそめて笑う雅臣を見て、迅は考え直す。迅を飛鳥井と呼び、弟の尋をジンと呼ぶこの男は、やっぱりひねくれたやつかもしれない。

「俺は親の言う通りの道は進まない。留学して、自分の力でのし上がってみせる」

「ははあ、学年首位の言うことはやっぱ違うわ」

 半ばあきれたように言ってから、雅臣は切り替えるように携帯に目を落とす。

「ていうか、今日昼メシ食ってかない? 兄貴がナントカって店を貸し切ったから来ないかって」

「ああ、ごめん。今日は用があるから帰らないと」

「ふうん」

 勘の鋭い雅臣はにやにやした笑みを浮かべて携帯を振って見せた。

「そんじゃ、十歳のブサイクな許嫁によろしく」





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