政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

 なんでブサイクなんだよ……。

 迅ですら一度も顔を合わせたことがない許嫁を、雅臣はすでに知っていたのだろうかと玄関アプローチを歩きながら不安がよぎった。

 運転手付きの車で自宅に戻り、用意された昼食をひとりで摂った後、父親から言われていた通り、迅は学生服のまま再び車に乗りこむ。後部座席で読みかけの原書を広げながら、窓の外に目を向けた。

 これから会うことになっている白鳥宗一という人物は、父の忠彦が昔世話になった人の息子だという。どういう取り交わしがあったのかは知らないが、白鳥家に女の子どもが誕生したことで飛鳥井との縁談が進みはじめたらしい。

 そして今日、十歳になったというその少女と初めて対面する。

< 323 / 343 >

この作品をシェア

pagetop