おはようからおやすみを笑顔で。
「お、おい。大丈夫か」

「げほっ。大丈夫……だけど、なに、東大って。凄すぎ……」

いくら頭いいからって、まさかそこまでだったなんて。
とりあえず、なんとか呼吸を整え、近くにあったボックスティッシュから一枚引っこ抜いて汚したテーブルを拭く。


「別にそんな凄くはないだろ。東大には毎年三千人も入学してる」

「いやいや、なんでサラッとそんなこと言えるの⁉︎」


元同級生というだけで気安く近づいてしまっているけれど、もしかしたら斉野くんって、私が思っているよりもずっと遠い世界のハイスペックエリート人間なのかもしれない……。


「……じゃあ尚更、どうして警察官になったの?」

「ん?」

「あ、その、警察官がどうのっていうわけじゃないよ。寧ろ凄い立派な職業だと思う。だけどそれだけ頭がいいなら、医者とか弁護士とかいろんな選択肢があったと思うんだけど、その中でどうして警察官を選んだのかなあって」

私の問いに、斉野くんは「ああ」と短く答えてから、ゆっくりと言葉を紡いでいく。


「俺の家、親父も叔父も祖父も、皆が警察官の警察一家なんだよな」

「そうだったの⁉︎」

「だから俺も、自然と警察官になるものだと考えてたっていうか。と言っても、別に周囲に流されて警察官になった訳じゃなくて、あくまで俺の意思な。諸外国に比べたら日本は治安はいいけど、未解決の事件もたくさんある。国民が安心して暮らせるように、国を自分の手で守っていく仕事がしたいーーっていうのを小二くらいの頃からずっと考えてた」

「小二で既に立派すぎる!」

私が小二の時なんて、大きくなったら空を飛びたいとか、動物と会話がしたいとか、アホなことばっかり考えてた気がする。
斉野くんは、昔から自分の夢や目標に向けて、勉強を頑張っていたのだろうなあ。
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