おはようからおやすみを笑顔で。
「お前に隠したいことなんてなに一つないんだ。寧ろ、全て知ってほしい。だけどその一方で、下手に誤解されたくないと思って凛花とのことを言い出せなかった、かっこ悪い自分もいて」

そう話す彼の瞳は戸惑いがちに揺れていて、見たことのない表情だった。
いつもクールで余裕たっぷりな彼をこんな表情にさせているのは、ほかの誰でもない私なのだと思うと、彼のことをかっこ悪いだなんて思うどころか、凄く……愛しく感じた。


「誤解なんてしないよ。話したくないことは話さなくてもいい」

私がそう伝えると、斉野くんは首を小さく横に振る。


「お前が迷惑じゃなければ、全部話すよ。聞いてくれるか?」

うん、もちろん。そう答えると、私と彼は一緒に部屋へと移動した。




温かい紅茶の入ったマグカップを二つ用意して、二人でガラステーブルを挟んだ状態で座る。

少しソワソワしてしまう気持ちを抑えようと、私は淹れたての紅茶を早速口に含む。身体が温かくなり、なんとか冷静になれた。

一方、猫舌の彼はまだ紅茶に口をつけないけれど、私と違って最初から落ち着いているように見える。
だけどやっぱり、彼のその瞳は戸惑いの色を含んでいるようにも感じて、私の心臓は再びドキドキと早めに鼓動し始める。
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