おはようからおやすみを笑顔で。
「これかぁ……」

妊娠検査薬の箱を手に取り、小さく呟いてみる。
この箱を手にするのは勿論初めてだ。
もし陽性反応が出たら、明日の朝、産婦人科に行ってみよう。
斉野くんに報告するのは、産婦人科に行ってからでいいかな? それとも、陽性反応が出た時点で言った方がいいかな?


などと考えていると、後ろから誰かにポンと肩を叩かれる。


振り向くと、どこかで見たような男性がにこにこしながら私に「こんにちは」と言ってくる。


誰だっけ? 職場のお客さん?


……あ、違う。この、くりっとした大きな瞳と、少し低めの身長の男性は、以前本屋に斉野くんと一緒にいた……


「ええと、斉野くんの同僚の……」

「思い出してくれましたー? 斉野さんの後輩の白井って言います」

名乗ってくれた彼につられるように、私も「斉野くんの同級生の、木本 沙耶です」と自己紹介して頭を下げる。
すると。


「同級生じゃなくて彼女でしょー?」

「えっ?」

「俺が沙耶さんを紹介してほしいって言うと、斉野さんめちゃくちゃ怒るんですもん。実は彼女なんでしょって聞いても教えてくれなかったんですけど、最近になってようやく認めてくれて」
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