戦乱恋譚


パァァッ!


霊魂が集まるようにだんだんと力を宿していく依り代。

やがて、光の中に人影が見えた。


(!)



一同がはっ!とした瞬間。そこに現れたのは忍び装束の“青年”。

以前の姿と違う彼に、動揺が隠せない綾人。しかし、その瞳と目があうと、青年はぱちり、とまばたきをして呟く。


『綾人…さま?』


「!」


重ねで成長したため、少し低くなった声。しかし、少年の面影を残す彼は、紛れもなく佐助だった。

何も言葉が出ない綾人に、佐助も、黙って主を見つめている。


「佐助…。すまなかった。」


そんな沈黙を破ったのは、綾人だった。彼はそのまま、ぽつり、と呟く。


「俺の力がないばかりに、お前を傷つけ、依り代を壊した。…何をしたとしても償えない罪だと思っている。」


『そ、そんな!綾人さまは悪くないです!僕が何も出来ない折り神だったから…』


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