戦乱恋譚


『じゃあ、今夜は綾人と佐助の歓迎の宴でも開こうぜ!姫さんと伊織も帰ってきたしな!』


千鶴は、そう言ってニヤリ、と笑う。目を細める咲夜さんは、低く続けた。


「また宴ですか。もう大量のお酒に回すお金なんてないですよ。」


『何だよ、ケチくせえなぁ。この一ヶ月間、屋敷の修繕にタダ働きさせられた俺や虎太を労ってくれたっていいじゃねぇか!』


花一匁は、そんな千鶴の一言にくすり、と笑う。


『あぁ、それはいいな。俺も久し振りに休ませてもらうとするか。』


『お前はすぐにどこかへ飛んでいって姿を消してただろーが!』


どうやら、私と伊織がいない間も、この世界は賑やかな日常だったらしい。

するとその時。私に抱かれていた虎太くんが、ふいっ、と私を見上げて尋ねた。


『そういえば、姫さまは向こうの世界で何をしてたんです?』


「え?」


その問いに、はっ、とした。私は、ここ1ヶ月の記憶を遡りながら、ぽつぽつと答える。


「えーっと…この世界に戻ってくるための準備とかかな。家具の整理をしたり、仕事場に挨拶をしに行ったり、伊織と一緒に実家に帰ったり…」


と、その時。目を見開いた銀次さんが、感動したように声をあげた。


「なんと!ついに華さまのご両親に顔合わせまでしてきたのか!ということは、やはり、伊織殿と本物の夫婦になる運びになったのですな?」


「!」


全員の視線が、私と伊織に集まった。つい、かぁっ!と照れて何も言えなくなる。

すると、すっ、と私の前に出た伊織が、全員の前でさらり、と言った。


「はい。華さんは、俺の妻です。」


(!)


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