戦乱恋譚
「…ね?」
そう言って目配せした伊織に、どくん!と胸が鳴る。
もう、私は頷いていいんだ。彼と私の関係は、確かなものになったのだから。
私は、まっすぐ前を向いて、ぱっ!と頭を下げ、言い切った。
「これからは、伊織の正式な妻として、ふつつかな私をよろしくお願いします…!」
わっ!と歓声が上がった。
咲夜さんも銀次さんも、そして折り神たちも私と伊織の出した答えを、優しく祝福してくれた。
穏やかな視線に、胸が熱くなる。
『さ!今夜の宴は派手にやるぞ!』
千鶴の一声に、全員が笑みを浮かべた。
…こうして、異世界に戻ってきた私は、出迎えてくれた仲間たちとともに、修繕を終えた懐かしい神城家へと帰ることとなったのです。
**
『かんぱーい!!』
千鶴の音頭とともに、盃がチン!と鳴った。わいわいと盛り上がる宴会場に自然と笑みがこぼれる。
一ヶ月ぶりの当主の帰還に喜ぶ使用人達は、次々と伊織に挨拶に向かった。隣に座る私にも、もちろん乾杯をしてくれる。
(…今日は、絶対前みたいに潰れたりしない…!)