戦乱恋譚
拗ねるような発言に、つい、私は折り神達に手を伸ばした。わしゃわしゃと撫でると、千鶴も虎太くんも花一匁も、それぞれがまるでわんこのように、されるがままに受け入れる。
みんな、私の命を聞いて、神城家を守ってくれた大切な仲間達だ。戦いの後、労いの言葉すらかけずに元の世界に帰ってしまった分、存分に褒めてあげなくては。
(これからは、ずっと一緒にいられるんだし…)
その時、伊織がぽーっ、とこちらを見ていることに気づく。
「?どうしたの?」
「!い、いえ。なんでもないです。」
ぎこちなくそう答え、お酒を飲んだ伊織にきょとん、としていると、彼の後ろから黒い影がひょこっ、と顔を出した。忍び装束の青年が、トン、と私の隣に座る。
『華さま!お隣よろしいですか?』
「!佐助…!」
ニッコリと笑みを浮かべる彼の隣には、穏やかな顔の綾人もいる。
『華さまのおかげで、またこの世に顕現することが出来ました。…しっかりお礼を言えてなかったので。前に会った時は、騙し討ちみたいな真似をしてしまって、本当にごめんなさい。』
「!いいんだよ、そのことは…!また会えてよかった。」