戦乱恋譚

すっかり凛々しい青年になった佐助だが、優しくて素直な性根は変わっていないらしい。綾人も、すっ、と頭を下げて言葉を続けた。


「あんたには、感謝してもしきれない。これから、俺と佐助は屋敷の使用人としてあんたに恩を返していこうと思っている。何かあったらなんでも申し付けてくれ。」


「…!こちらこそ、たくさん助けてくれてありがとう。これからもよろしくね。」


碧眼を緩やかに細めた綾人は、「それと…」と呟き、使用人達と談笑している伊織へちらり、と視線を移す。そして、私にそっ、と囁いた。


「…結婚おめでとう。伊織のこと、よろしく頼むな。」


「!…うん。ありがとう。」


祝福の言葉は、なんだかくすぐったくて、恥ずかしかった。まさか、私が“結婚おめでとう”と言われる日が来るなんて。

その後、挨拶に来た咲夜さんや銀次さんも、まるで息子の結婚を喜ぶ親のような顔で、私と伊織の結婚を祝してくれた。

…そして、わいわいと盛り上がった宴は深夜まで続き、屋敷の人々はだんだんと酔っ払って潰れていったのだった。

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