戦乱恋譚

予想外の言葉に、ついかぁっ!と照れる。つられたように頰を染めた伊織も、軽くまつげを伏せて呟いた。


「この世界に戻ってきたのは安心できるし、いいのですが…屋敷の皆も折り神達も、華さんのことが好きなので。…こうやって時間を作らないと、二人っきりになれないでしょう?」


そっ、と、伊織が私の手に触れた。甘い空気が二人の間に流れる。

誰もいない部屋の中で、ふわり、と熱のこもった視線が交わった。

自然と重なる唇。

軽い口づけの後、優しく笑った彼に見惚れる。何度近くで見ても、そのかっこよさにはまだ慣れない。恋人になった自覚も芽生え始めたばかりだ。

…伊織は、お互いの想いを伝えあったあの夜から、こうして私に触れることが多くなった。さりげなく髪を撫でたり、何気なく私をすっぽりと抱きしめたり。彼がそういう軽い触れ合いが好きなんだと気づいたのは、つい最近である。


「…ここ一週間はずっと華さんと二人で生活して来たので、その環境に慣れていたというか…。俺は少しやきもちを焼いていたのかもしれませんね。」


照れたようにそう言った彼が、愛おしい。こうやって、たまに素直に気持ちをこぼすから、私は翻弄されてばかりなんだ。

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