戦乱恋譚
そんなことも思ったが、どうやらここは森の中のようだ。よく見ると周りの景色が意識を失う前と全く違う。
コンクリートの道にビルや住宅が建ち並んでいたはずの土地に、立派な堀と城壁が見えた。そして轟々と炎につつまれているのは、見たこともないほど大きな“城”。
ここは夢の中なのだろうか。失恋のショックと突然の休職のダブルパンチを受けてふらふら歩いているうちに、いつのまにか自宅について、ベットにダイブしていたのかもしれない。
しかし、頰をつねって見るが、一向に悪夢から覚める気配がない。しかも、体に感じる炎の熱さは本物だ。
「どうなってるの…?!!」
混乱の中、ぽつり、と無意識に呟いた
その時だった。
ガサッ!!
突然、近くの茂みが音を立てた。びくっ!と体が震える。
すると次の瞬間、暗い森から現れたのは、一人の青年だった。
…亜麻色の髪に、白銅の瞳。
見惚れるほど整った顔の彼は、私を見るなり、はっ!と目を見開いた。
タン!
「っ!!」
息つく暇もなく距離を詰める彼。
素早く背後を取られたと思うと、すっ、と、鋭い短剣を首元に突きつけられた。
流れるような動作に呼吸が止まる。殺気に呑まれ、体が動かせない。