神様には成れない。
「まあいいや、もうそんな事にはならないから真面目に考える必要はないよ」
私が反論できないと見るや否や、締めくくる様に空想の世界の話を閉じた。
「だって、考えてもみてよ。瀬戸さんが先に死んでる事前提で話してるけど俺が先に死ぬ事だってあるんだから、その時点で話は破綻するんだよ。こんなのは……こんな事だってもしもの話だよ」
穴だらけの話の幾つもある切り口を開いていてはキリがない。と。
開いて抉った所で、何処かで不快感に遭遇するだけだ。告白だって勘違いでも表面上の綺麗な部分をなぞっていれば良かったのだ。
けれどもう、深く深く切り込んだ。それは紛れもない事実で塞いでなかった事にするのは難しいだろう。
「それで?瀬戸さんは俺の告白にどう返答してくれるの?」
「……――」
答えを求められて、黙りこんでしまう。
“死を前提に付き合う”
その意味は、単に死ぬ時に迎えに来てほしいと言うふざけたようなもの。
だったら、私だって真剣に考える必要などない。
そう、思うのに。
馬鹿げていても、わざわざ口にしたその事は彼にとっては重要な事だった筈だ。
それをただただ笑い飛ばすなど出来るのか。友人として適当に返答する事など出来るのか。
彼が真剣なら私も真剣に返すべきなのだ。