神様には成れない。
まるで放り出されたような気持ちを抱きながら、彼に駆け寄る。
「おかえり。勝手に決めちゃったけど良く似合ってるね」
うんうん。と頷きながらホッとした表情を浮かべる。
普段から店員さんや友達と話をしながら服を決めたり決めて貰ったりしているので、勝手に決める云々は気にしていないのだが問題は別にあるのだ。
「あの、あの、このスカートいくらだった?お金返しとくから」
ワタワタと鞄から財布を手に取るのだが、彼の手が私の手を鞄に押し返す。
「全部俺が勝手にした事だから貰っといてよ」
「いやっ、いやいやいや!そう言う訳にはいかないよ!」
服だって決して安いものではない。バイトしているとしてもそれは変わりはしない。
「ほら、瀬戸さんの趣味じゃないものかもしれないし、押し付けられたーくらいに思っておいてくれたらいいからさ」
「そんなこと……」
納得できないまま、ググッと財布を出そうとするも涼しい顔をしながらそれ以上の力で押し返して来る。
「うぅ……!」
「はいはい。この話は終わり。デートの続きしよっか」
頑なな意見を変える事は難しい。ならばとコクリと頷いた。
「――ありがとう。このスカート凄く可愛いから嬉しい。でも……」
だからと言って私だって引き下がれるような性格をしていない。
「代わりにお昼ご飯は私が出すからね」
「強情だなぁ」
「淵くんに言われたくない」
「あっはは。分かった分かった。ありがと。ごちそうさま」
ムッとしようとも彼は彼のまま、笑顔を絶やす事はない。
どんな事でも楽しい。と言った事を体現するかのように。