神様には成れない。
人が多い割に観覧車に乗る人と言うのはあまりいないのか、待つこともなくスムーズに乗る事が出来た。
遠くから見ても近くから見ても大きな観覧車で、地上で見た案内には所要時間は約20分と書かれていたので、それだけでも規模が大きいと分かる。
「観覧車乗るのって久しぶりだなぁ」
「私も」
少しずつ離れていく地上を窓から見下ろして、灯りを目に映す。
昼に見ればきっと遠くまで街を見渡せて壮観だろうが、夜の景観は煌びやかで心が躍る。
「綺麗だねー」
月並みな感想を述べながら落ち着きなく、左右後方を見て回る。何処を見ても街は賑やかだ。
次第に高度が高くなり見えていた人が小さくなっていった。
「ん、そうだ瀬戸さん」
「はい?」
夢中で夜景を見ていた私を彼は軽い調子で呼ぶ。
「隣、座ってもいい?」
「はい?」
呼ばれた時と全く同じ返答をして固まる。
ゴンドラの中と言うのは向かい合って座っていようとも少々狭く感じる。
どちらかと言えば身長が高くとも細身な彼だが、二人揃って座れば一杯一杯になるのは想像に容易い。
「う~~ん。駄目?」
固まったまま返答しない私に追い打ちをかけるかのように、もう一度問いかけてくる。
「え、だ、駄目では……ないけど」
付き合っているのだし、距離が近くともそれこそ今更ではあるのだからと、言い訳をするように頭で言い聞かせ、ドギマギしながらも私はずりずりと彼が座る分のスペースを最大まで開けた。
「あ、そっちじゃなくて左。左に寄って」
「へ?う、うん。ごめんなさい」
「いやいや、何で謝んの?」
笑いを噛み殺しながら、言われた通りに先とは逆に体を移動させれば彼は身を屈めながら私の隣に移動した。
「う……」
やはり、想像通りに男女二人座るとキュウキュウで肩と肩が容易にぶつかる。
「うぅ……」
ぶつかった肩から熱が上がったかのように全身が熱くなる。
彼が近くにいる事になれる事などなく、過剰に意識をしてドクドクと心臓が大きな声を上げる。
私は恥ずかしさのあまり逃げるように、体を小さく縮こまらせて窓に頭を寄せた。