神様には成れない。
そんな私の様子が滑稽に見えたのか、彼はクスクスと笑い始める。
「そんな怖がらなくても、何もしないって」
「こ、こわ、怖がってる訳じゃなくて……っ!」
しかし、彼に対して怖いのも恥ずかしいのももしかしたら似たような物なのかもしれない。
だって私は生まれてこの方恋人等出来た事がないから、恋人がする行為というのは未知の領域なのだ。
知らない所へ踏み込むのは怖い。
知らない所へ踏み込まれるのは恥ずかしい。
「俺、瀬戸さんにはうんっと優しくしてるつもりなんだけどなぁ」
「やさ、優しいけど……っ!」
困惑を伴う様な言葉ながら、弾んだ声で言うだなんてチグハグも良い所だ。
「でも、そんなに顔真っ赤にして意識してくれるのは嬉しい。かもしれない」
うん。と頷いて一人で納得する彼は、何とも独特のペースを持っているようだ。
私は未だ心臓を抑えるのに必死なのに。
むしろ激しく脈打つ心臓が痛くすらあり、ギュウッと胸元の服を握り込んだ。
「……っと、何か瀬戸さんヤバそうだからさっさとしちゃうね。ちょっと目閉じてそのままジッとしててね」
「う、ぇ?え?」
何を。と問いかけるよりも早く私に目を閉じててほしいと行動でも示すように、前髪ごと私の目を撫でつける。
「っ、」
次いで私の髪の右側に触れる。
軽く彼の指先が右耳に触れてビクリと反射的に体が跳ねる。
動きたい。けれど身じろぎ出来ない程に私の体は固まって、息を殺す事しか出来なかった。