Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
 千紗子が嫌がらないのを確認した雨宮は、少しだけ両腕に力を込めた。

 「ごめん、千紗子。」

 胸の中でグズグズと泣いている千紗子に、雨宮が謝る。

 「千紗子の良心を疑って悪かった。」

 雨宮の声がいつもの柔らかなバリトンボイスに戻っていて、千紗子は次第に落ち着いてきた。

 「俺が一緒のベッドで寝ても、千紗子は大丈夫なのか?」

 雨宮にそう聞かれて、千紗子は頷く。

 大丈夫かそうでないか、と聞かれると、本当は大丈夫じゃない。
 雨宮と一緒のベッドでなんて眠ることができるのか、と聞かれたら、千紗子の答えは『NO』だ。

 けれど、彼一人を硬い床の上に寝かせるくらいなら、眠れなくてもいい、と千紗子は決めたのだ。

 「分かった。じゃあお言葉に甘えよう。」

 千紗子を抱き寄せていた腕を解くと、雨宮は彼女の手を引いて寝室に移動した。
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