Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
「眠れないのか?」
突然低い声が背中から聞こえた。
「…はい。雨宮さんも?」
「ははっ、そうだな。」
「すみません……」
この状況を作ったのは自分自身なのだから、自分が眠れないのは仕方ない、と千紗子は思っていた。
けれど、雨宮まで眠れないのでは、何のために『一緒のベッドで』と誘ったのか分からない。
「眠くなるまで、少し話でもしようか。」
「はい。」
千紗子が返事をすると、布団がもぞもぞと動いて、次の瞬間、千紗子は背中から雨宮の体に包みこまれた。
千紗子がハッと息を呑む音が、暗闇に響く。
体の後ろに熱の塊を感じた瞬間、千紗子の頭が真っ白になった。
「そんなに端っこにいたら、落っこちるぞ。」
雨宮は千紗子の動揺なんてお構いなしに、彼女を自分の方へ引き寄せる。
千紗子の鼓動が一気に加速して、体中がカーッと熱くなる。
さっきまで以上に固まった千紗子の体を、雨宮の両腕が柔らかく包み込んでいる。
「離れてても眠れないなら、くっ付いていた方がいいだろう?その方が温かいし、話しやすいしな。」
雨宮の変な理屈に返す言葉も、今の千紗子には見付からない。