Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
その後すぐに休憩に入った千紗子は、急ぎ足で休憩室に向かっていた。
(あの子の希望に合う本が見付かってほんとに良かった。)
お弁当の入ったかばんを抱えて、休憩室のドアを押そうとした手が、スッと空振った。
そのドアを中から誰かが引いたのだ。
押すつもりで手に力を入れたせいで、千紗子の体がバランスを崩す。
ドアの前でよろめきかけた彼女を、中から出てきた人がとっさに支えた。
「おっと、大丈夫か?」
「すっすみません。あっ!」
自分の肩を支えている手の、持ち主を見上げた千紗子の胸が飛び跳ねる。
雨宮だった。
千紗子が体勢を戻すと、雨宮の手はすぐに千紗子の肩から離れていった。
「木ノ下は今から昼休憩なのか?今日は少し遅めだな。」
「は、はい。来館者の女の子の質問を受けてたら遅れてしまって。」
「そうか。ごゆっくり。」
雨宮はそれ以上何も言わずに、少し微笑むと休憩室から出て行った。