Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 (ちょっとびっくりしたわ……やっぱり心臓に悪いかも、雨宮さんって。)

 千紗子の挙動不審は昨日よりもましになって、今日は職場での雨宮を見てもそんなに動揺せずに仕事に集中できている、と思う。
 けれどこんなふうに不意打ちで接触されると、やっぱり千紗子の小さな心臓は跳ねてしまうのだ。

 (仕方ない、わよね……だってあの『雨宮さん』だもの…)

 美香曰くの『無自覚な美男子』の威力は、プライベートの姿を知った後、衰えるどころかその勢力を増すばかりだ。

 小さく溜め息をつきながら、休憩室のテーブルに持って来たお弁当を広げようとした時、女性の先輩たちの騒ぐ声が千紗子の耳に入ってきた。

 「ちょっとっ!見た!?」

 「見た見た~!!」

 聞くとは無しに入ってくるそのワイワイとした声に、聴いてない顔をしている千紗子は、次に聞こえた言葉に心臓がドクリ、と音を立てた。

 「雨宮さんのお弁当!!」
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