Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 その会話のすぐ後、彼女たちの休憩が終わりの時間を迎えたようで、バタバタといなくなり、休憩室には千紗子一人が残された。

 手元のお弁当の包みを、震える手で開く。
 そこには俵型に握ったおにぎりが二つと、出汁巻卵、蕪の浅漬け、ブロッコリーのおかか和え、そして肉じゃがをリメイクしたコロッケが、所狭しと並んでいる。

 (お弁当箱は別のものにしてて良かった……)

 ふぅ、と息をつくと強張っていた体から力が抜ける。
 千紗子のお弁当は、たまたま水曜日に使ったいつもの弁当箱があったので、それに詰めた。
 雨宮の家には弁当箱どころかタッパーの類が一つも無かった為、千紗子は百均の店で作り置きのおかずを入れる為に買っておいた使い捨てのランチパックに彼のお弁当を詰めたのだ。

 (入れ物は違うけれど、見る人が見たらお揃いだって一目瞭然だわ……。)

 千紗子は雨宮と同じタイミングで休憩に入らずに済んだこと、そして勘の鋭い美香が今日は休みだということに、心から安堵した。
 
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