Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 「雨宮さんには申し訳ありませんが、明日のお弁当やっぱりは遠慮させてもらいます。」

 「えっ!?」

 千紗子の発言に、雨宮はさっきまでの微笑みを消して焦りだした。
 そんな彼を尻目に千紗子は畳み掛けるように、言葉を続ける。

 「雨宮さんと一緒のお弁当だとバレたら大変なことになるのは私の方なんです。雨宮さんはご自分の人気がどれほどのものがご存知ないんですか?そんなわけないですよね?先日は女子高生にまで好意を寄せられていたんですよ。そんな図書館のプリンスと何かあったともし勘ぐられでもしたら、私は大変なことになってしまいます。同僚の方々だけでなくて来館者の方まで敵に回すことになったら、どう責任を取っていただけるんですかっ。」

 『立石に水の如く』とはこのこと、とばかりにスラスラと澱みなく話す千紗子に、雨宮はたじろいだ。
 こんな風に、自分の主張をハッキリと話す彼女を見たことがない。

 「作る、と申し出たのは私なので、そこは申し訳ないのですが、もうお弁当は、」

 「分かった。」

 千紗子がすべてを言い終わる前に、雨宮が口を開いた。

 「―――分かって頂けて良かったです。」

 強張っていた千紗子の頬がゆるんで、自然と眉が下がった。
 雨宮に申し訳ないと思っているのは千紗子の本心だ。けれど、バレるのが恐ろしい、という気持ちの方が切実なのだ。
 それが受け入れて貰えたのだと思って、千紗子は心の底からホッとしていた。
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