Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
「じゃあ、俺の弁当を誰にも見られないようにする。」
「えっ?」
「だったら手作りとかアレコレ言われなくて済むし、千紗子が作ったと誰にも知られることはないだろ?」
千紗子は、さきほどの雨宮の返事は、弁当を作らないことを了承したものだと思っていた。
しかし、雨宮は諦めていないばかりか、なんとか千紗子の気持ちを変えようと食い下がってくる。
「誰にも見られないようにする。だから明日もお弁当を作ってくれないか?」
「そ、それは…」
『ダメ』と言いたいのに、目の前の彼の瞳は真剣そのものだ。眼鏡の奥がきらきらと光らせて、千紗子の返事を待っている。
スーツ姿の雨宮は、まさしく『デキる男』そのものだ。
その端麗な容姿からは、抑えきれないほどの大人の色気に満ちているけれど、そこには隙がない。仕事のこと以外の話をするのが躊躇われる雰囲気を持っているのは、同僚たちの共通見解だ。
けれど、普段着でくつろぐ姿の雨宮は仕事の時とは違う魅力を見せる。仕事場での硬い雰囲気は薄らぎ、ラフで柔らかな印象になるのだ。
時折、無邪気な少年のような一面も垣間見ることがあって、千紗子はそのギャップにまだ慣れることが出来ないでいるのだ。