Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
今まさに、雨宮は『少年みたい』な無邪気で、自分の希望を千紗子に向けていた。
ブラウンのフレームから覗く瞳が、じっと千紗子を見つめている。
ただ見つめられているだけなのに、だんだんと千紗子の鼓動は早くなり、頬が紅潮する。
とうとう千紗子は、その圧倒的な魅力に白旗を上げた。
「わ、分かりました。絶対に誰にも見られない、と約束していただけるなら。」
根負けした千紗子が渋々頷くと、雨宮は一瞬にしてパーッと輝くほどの笑顔を見せた。
「もちろん、約束する。」
大輪の花が開らくようにほころんだ笑顔に、千紗子の目は釘づけにされる。
彼のこの笑顔に、魅入られない女性が世間にいるのだろうか。
千紗子はその笑顔にぽーっと見惚れてしまっていた。
けれどすぐに我に返った千紗子は、そこから無理に視線を剥がしてから、赤い顔を隠すように俯いた。
その彼女のすぐ後を追って彼女の頬に柔らかなものが触れる。それは「チュッ」と音を立てて、離れていった。
咄嗟のことに反応が出来ず、俯いたまま固まっている千紗子の耳元で、低い声が囁いた。
「ありがとう。千紗子。」
千紗子の体に甘いしびれが走り、全身が火が出るくらいに熱くなる。
身動き一つ取れずにいる彼女の頭を、大きな手がグルグルと二回かき混ぜた。
「先に風呂に行ってくるな。」
そう言うと、雨宮はさっさと行ってしまった。
残された千紗子は一人、体の熱が引くまで一ミリも動くことが出来なかった。