Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 「千紗子が、彼のところに行ってしまうんだと思ったら、俺は居ても経ってもいられなくなって、自分を見失うところだった……怖がらせてしまったなら、謝る。すまない。」

 「え…っと、いえ、そもそも私が誤解されるような発言をしてしまったせいですから……」

 雨宮の腕は緩んだものの千紗子を抱きしめたままで、だんだんと冷静になってきた千紗子は、今度はその体勢にひどく焦りを感じてきた。

 雨宮が話す度、その吐息が耳にかかり柔らかな低音に体が震える。千紗子の視界は紺色のニットで埋め尽くされ、体中が甘くて爽やかな香りに包まれている。

 「あの、えっと…もう大丈夫ですから、離して、ください……。」

 「いやだ。」

 (―――え!?)

 千紗子は自分の耳を疑った。
 駄々をこねる子どもみたいなことを、あの雨宮が言うはずはない。

 「あの…腕を、」
 
 「はずして下さい」と続けようとした千紗子の唇が、柔らかくて熱いものに塞がれた。
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