Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
どれくらいのそうしていたのか分からない。
ただ奥の部屋の窓の向こうがうっすらと明るくなってきて、夜が明けかけていることだけは分かる。
泣きすぎて重くなった頭をゆっくりと持ち上げた千紗子は、呆然と部屋の中を見渡した。
この部屋は昨日千紗子が不動産会社で契約してきたマンスリーマンションだ。
窓口に出てきた担当者にマンスリーマンションを探していると伝えると、すぐ近くにちょうど空いたばかりの物件があるからと、その担当者は下見に連れてきてくれたのだ。
駅前にある不動産会社から徒歩五分のところにあるそのマンスリーマンションは、驚いたことに、雨宮のマンションとも徒歩五分くらいの場所にあり、駅と雨宮のマンションと三角形を描いたような位置関係になっている。
正直こんなに近くに住むことにためらいはあったけれど、その他の条件は千紗子の希望にピッタリと合ったものだったし、担当者が入居前のクリーニングがまだ出来ていないけど、すぐに入りたいならと、少しだけ家賃を負けてくれるというので、そのまま契約を結ぶことにしたのだ。
マンスリーマンションには家電も何もかもが揃っているから、雨宮の部屋に置いてある荷物を持って入居すれば、すぐにでも生活を始められそうだ。
あとは今日仕事が終わった後、雨宮にこのことを報告して、きちんとお礼を伝えて彼の部屋を出よう。
やっと落ち着く先が決まったから、これからはスッキリとした気持ちで前に進めるかもしれない、と千紗子はホッとしていたのだった。