Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 (またからかってるの!?)

 じっと身動きできずにいる千紗子を見て、雨宮が「くすっ」と笑った。

 「からかってないからな。そんなふうに反応する千紗子が見れて、俺は嬉しいだけだ。」
 
 (嬉しい!?なんで??)

 「今までの千紗子にとっての俺はただの上司だっただろ?でも今はこうして一人の男として反応して貰えることが、何より嬉しいんだ。」

 千紗子は考えていることを一言も声に出していないのに、まるで二人で会話をしているように、雨宮は言葉を続けていく。

 「なんで、名前…」

 「ゆうべ言ったろ?ただの上司はやめるって。ここは職場じゃないんだし、名前で呼ぶぞって。千紗子も『一彰』って呼んで。」

 (む、無理です…)

 「ま、今は無理でも、そのうち呼んで貰えるように頑張るかな。」

 (な、なんで頑張るの??)

 「千紗子、顔を見てたら大体は言いたいことは伝わってくるけど、出来たら千紗子の綺麗な声が聞きたい。少しは声に出してほしいんだけどな?」

 頭をゴシゴシと撫でられて、千紗子は目を丸くするしかなかった。
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