Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
 「なっ!」

 思っても見ない雨宮の行動に、千紗子心臓が跳ねあがる。

 千紗子の髪から唇を離した彼は、視線だけ持ち上げて千紗子を見つめた。
 否応なしに千紗子の心臓が早くなる。
 三十センチ足らずの近距離から上目使いで見つめる瞳は、濡れたように光っている。その瞳から目を逸らすことが出来ず、千紗子は無意識にソファーの反対側へ後ずさった。

 (また、からかいモードになったの!?)

 寂しげに眉を下げた雨宮が口を開く。

 「君をからかってるわけじゃないからな。」

 「えっ、や、あの…」

 「俺が近付くのが嫌か?」

 「え?」

 「本当は後悔しているんじゃないか?」

 「後悔…」

 「ああ。ゆうべのこと。」

 「ゆうべ…」

 呟いた瞬間、千紗子は雨宮の言いたいことを理解した。
 理解した途端、足の先から頭のてっぺんまで一気に熱くなる。

 全身を真っ赤にした千紗子を、真剣な顔で覗き込んでくる雨宮との距離が、いつのまにかさっきよりも近くなっている。
 千紗子の鼻先に、ふわりと爽やかな香りが香った。
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