Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
「あ、」と口を開いた瞬間、千紗子の体が痛いくらいの力で抱きしめられる。
ぎゅうぎゅうと締め付けてくる力に、千紗子は苦しくなって身を捩る。だけど、『逃がさない』と伝えるように、腕の力は緩むことはなくて、千紗子は抵抗する力を無くして、その腕の中でジッと身を固くしていた。
「すまない……」
しばらくすると静かな声がそう言って、腕の力が緩んだ。腕は千紗子の背中から離れはしないものの、苦しくなるほどの締め付けはない。
「元気になったらいつでも出ていけばいい…でも頼むから、今はここに居て欲しい。千紗子が嫌なら、もう君に触れたりしないから。」
背中に回されていた腕がスッと離れていく。体を包んでいた熱が離れて、千紗子は少し肌寒さを感じた。
「君が一人で泣いているんじゃないか、どこかで倒れてるんじゃないか、そう思ったら俺は君の安否を確認する為に君を探してしまうだろう。我ながらストーカーかと思うけれど、それくらいに今の君のことが心配で仕方ないんだ。俺に迷惑を掛けるのが嫌だと思うなら、君の心と体が元気になるまでは、俺の目の届くところに居て欲しい。」
千紗子を見下ろす雨宮の瞳は、切なげに揺れている。
いつも職場で見る彼は、隙がなくて『デキル上司』そのものだ。
けれど今、千紗子の目に映る雨宮は迷子の子どもみたいに頼りなげで、そんな彼のお願いを聞いてあげないといけないような気にすらさせる。
大人の、しかも容姿端麗で万人に好意を持たれるような男性のそんな萎れた姿に、千紗子の胸がきゅんと音を立てて甘く疼いた。
(でも、雨宮さんが本当に私に好意を持っているなら、やっぱりこれ以上甘えるわけにはいかないわ…。だって、私には彼の好意に応えることなんて出来ないもの…)
最後に残った理性が、そう言って千紗子に警鐘を鳴らす。
そんな千紗子の気配を察知したのか、雨宮は畳み掛けるように言葉を並べた。
「俺が君を好きだと言ったことなら、気にしなくて良い。本来なら告げるつもりはさらさらなかったんだしな。俺は書斎にしている部屋で寝るし、食事も別々で構わない。千紗子には必要以上触れないと誓う。」
両手を上げて降参のポーズを取る雨宮を見て、千紗子は思わず『プッ』と吹き出した。
一生懸命千紗子を説得しようとする姿が、思いのほか可愛らしかったからだ。
ぎゅうぎゅうと締め付けてくる力に、千紗子は苦しくなって身を捩る。だけど、『逃がさない』と伝えるように、腕の力は緩むことはなくて、千紗子は抵抗する力を無くして、その腕の中でジッと身を固くしていた。
「すまない……」
しばらくすると静かな声がそう言って、腕の力が緩んだ。腕は千紗子の背中から離れはしないものの、苦しくなるほどの締め付けはない。
「元気になったらいつでも出ていけばいい…でも頼むから、今はここに居て欲しい。千紗子が嫌なら、もう君に触れたりしないから。」
背中に回されていた腕がスッと離れていく。体を包んでいた熱が離れて、千紗子は少し肌寒さを感じた。
「君が一人で泣いているんじゃないか、どこかで倒れてるんじゃないか、そう思ったら俺は君の安否を確認する為に君を探してしまうだろう。我ながらストーカーかと思うけれど、それくらいに今の君のことが心配で仕方ないんだ。俺に迷惑を掛けるのが嫌だと思うなら、君の心と体が元気になるまでは、俺の目の届くところに居て欲しい。」
千紗子を見下ろす雨宮の瞳は、切なげに揺れている。
いつも職場で見る彼は、隙がなくて『デキル上司』そのものだ。
けれど今、千紗子の目に映る雨宮は迷子の子どもみたいに頼りなげで、そんな彼のお願いを聞いてあげないといけないような気にすらさせる。
大人の、しかも容姿端麗で万人に好意を持たれるような男性のそんな萎れた姿に、千紗子の胸がきゅんと音を立てて甘く疼いた。
(でも、雨宮さんが本当に私に好意を持っているなら、やっぱりこれ以上甘えるわけにはいかないわ…。だって、私には彼の好意に応えることなんて出来ないもの…)
最後に残った理性が、そう言って千紗子に警鐘を鳴らす。
そんな千紗子の気配を察知したのか、雨宮は畳み掛けるように言葉を並べた。
「俺が君を好きだと言ったことなら、気にしなくて良い。本来なら告げるつもりはさらさらなかったんだしな。俺は書斎にしている部屋で寝るし、食事も別々で構わない。千紗子には必要以上触れないと誓う。」
両手を上げて降参のポーズを取る雨宮を見て、千紗子は思わず『プッ』と吹き出した。
一生懸命千紗子を説得しようとする姿が、思いのほか可愛らしかったからだ。