想い出には出来ない
短い時間を重ねて知ったこと。
好きなものはチョコレートと桜の花。
理由は「癒やされる」から。
嫌いなものは沈黙。
理由は「不安になる」から。
十五歳の少女の言葉がひどく哀しく思えたのを今でも覚えている。
三年間、時に遠く時に近くでお前を見てきた。
固い蕾が徐々に解けて淡い想いに色付き、花は咲いた。
卒業式。
お前が想いを言葉にして口にした時、俺は苦しかった。
抱きついて泣く姿に心が揺れたけれど自分を律し離れる事が最良の選択だと信じてそれを伝えた。