俺たちは夜に舞う蝶らしい





カーディガンとネクタイをハンガーにかけて沈黙する蘭音。





『何か言いなよ。』


「あんま、酷くしないであげてね。」


『は?』




俺の質問に関する答えではない。





「澪も翼も、優しい子だから。
引き込むっていっても、酷くしないであげて。」


『お前‥‥なんで仕事内容知ってる、?』




そもそも、なんでターゲット‥‥ボスたちの子どもの名前まで知ってる?




「昭美さんがペラペラ話してくれたよ。
澪たちとは母さんが殺されたとき、保護された壱条組で仲良くなったんだ。」





昭美さん‥‥ってボスかよ!
え?

じゃあ、いつの間にかボスと知り合ってんの?

この子、恐ろしいんだけど。




「俺はBARのオーナー。
昭美さんや夕さんは常連さん」




衝撃の事実だわ。
なにそれ。

いろいろ突っ込みたいけど、蘭音が危ないことしてる訳じゃなさそうで安心した。




『あんま危ないことしないでよね。』


「凜音にだけは言われたくない」




その返しは危ないことをしない保証はないってことで。

それでも、俺を心配してる言葉で、
なんて言ったらいいのか分からなくなる。


< 17 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop