俺たちは夜に舞う蝶らしい
「ご飯食べた?」
『いや、食べてない。』
「お腹すかない?大丈夫?」
仕事してきたんでしょ?と聞いてくる蘭音。
パタパタとスリッパの音を響かせながら冷蔵庫へと向かう蘭音。
『買い物してないから何もないでしょ。』
「んー。あることにはあるけど、朝の分無くなるね」
『じゃあ、いらないよ。』
「そっか。
あ、明日は起きてくるの遅いなら自分でご飯してね。」
『どっかでかけんの?』
明日は休日なのに。
休日に朝から蘭音が出ていくのは珍しい。
「澪のお祝いに行ってくる。」
『‥‥そうか。』
「一緒に行く?」
『いや、やめとく。』
子どもとはいえ、蘭音が気に入る奴。
わざわざ、誕生日を祝うくらいに気に入ってるなら、会わない方がいい。
「そ。」
俺の答えがわかっていたのか、至って普通な蘭音。
『そろそろ寝るよ。』
「ん。」