24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
――2日後。
銀座の街もすっかり日が落ちて、夜の明かりを灯した立花の店に、招かれざる客が顔を出した。
「こんばんは。先日はご挨拶をありがとうございました」
「あちらへどうぞ」
立花は、突然の拓也の訪問に驚くことなく、いつもと変わらずやわらかく話す。
タイミングよく、イートインスペースを使用している客がいなくてよかった。彼は店員に焙じ茶を用意させ、2人掛けのテーブル席へ案内した。
拓也はウールコートを椅子の背に掛け、ビジネスバッグを床に置いた。
立花は、着物の褄を取ってから、丁寧に腰を下ろす。
羊羹色の羽織に、本紫色の羽織紐を合わせている彼の装いは、いつも以上に凛々しい。
「今日は、どのようなご用件でしょうか」
「先日のことで、お考え直しいただきたくお願いに参りました。突然伺って申し訳ございません」
「いえいえ、お気遣いなく」
にっこりと微笑みながらも、立花は相手の出方を待った。
出された焙じ茶を飲みながら、拓也もおそらく立花の反応を見ているようだが、そんなことでは動じない。