24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
(本当、放っておけない人だな)
しっかりと抱きかかえるようにして伊鈴の体勢を戻しながら、立花は密かに伊鈴への興味を強くした。
見た目は気が強そうなのに、店で突然号泣したり、派手に転びそうになったり。
なにがあったか知らないが、あんなに儚い涙をこぼしながら、おはぎを食べる女を見たのは初めてだった。
しかも、声をかければ、「今日食べられてよかった」と、まるで明日がないような言い方をして……。
(なにか重い病気を患っているとか? それとも、海外にでも転勤することになった?)
初対面の〝ただの客〟と分かっていながらも、立花は伊鈴のことが気になって仕方ない。
「また転んでしまったら心配なので、こうしていましょう」
弱りきった心をそっと包むように、立花が手を繋いできた。
普通なら驚き、振りほどいて、雨が降っていようとなんだろうと番傘の下から駆けだして逃げてもおかしくない。
しかし、今の伊鈴にとって、あまりにも自然な立花の心遣いは、また涙腺が緩むだけだった。
そして、そんな立花の微笑みに隠された強引な優しさは、涙の雨から守る傘になってくれそうな気がした。