24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

 デスクの傍らに置いていたスマートフォンが震えた。


【今日だけど客先の付き合いが入って会えなくなった。誕生日なのに、本当ごめん。埋め合わせはするから!】

 拓也からのメッセージに、ますます心は荒波を立てる。

(知ってたわよ。大切な〝客先〟と約束してたことくらい)

 ため息をつきながら、少しの間考えた。

(分かったで済ませる? それとも、こっちから切り出す?)

 どちらにしても、もうおしまいだ。それなら、振られてしまう前に、振ってやろう。
 このまま関係を続けたら、由紀と二股をかけられることになる。


【お疲れ様。相変わらず忙しそうで大変ね。埋め合わせなら結構です。拓也とは今日で別れます。さようなら】

 伊鈴は勢い任せにメッセージを返し、涙をごまかすためにコーヒーを飲もうとタンブラーを傾けた。
 だけど、どうにも耐え切れそうにないので、営業部を出て足早に給湯室に入り、簡易的なシンクに手を突いて俯く。

 泣きたくなんてなかったのに、悔しくてたまらなくなった。

(この失恋は、誰のせい?)

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