24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
由紀から打ち明けられなくとも、こうなる予感はあった。
このところ、多忙だからとデートを断られる回数が多くなっていたし、せっかくのデート中も拓也はやたらスマートフォンを気にしていた。
身体を重ねても心ここに非ずといった感じで、どうしたのかと聞けば「疲れてるだけ」の一辺倒。
仕事や疲れを理由にされたら、納得せざるを得なかった。
それは、彼のことを信じたかったし、実際に信じていたつもりだし、取引先の彼がどれほど多忙なのかを知っていたからだ。
拓也は今年31歳。この年頃で2年の交際となると、なんとなく未来を意識するものだし、それは普通のこと。
だから、〝結婚を前提に〟は、伊鈴がもらうはずの言葉だったのだ。
(どうしよう……。由紀になんて言ったらいい? もしふたりが本当に結婚したら、私は心から祝福できる?)
先の長そうな暗闇が、目の前にぽっかりと口を開けているようで怖くなった。