24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~

「こんばんは、立花様。いつものお席でよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」

 上階のバーラウンジに着き、スタッフに案内される間、伊鈴は視線の先に広がる銀座の夜景に息をのむ。
 大窓が雨で濡れているせいで、くっきりとは見えないものの、眩いネオンは滲んでも綺麗だ。

 立花がいつも利用しているのは、店の奥にある半個室。磨りガラスで仕切られ、店内で最も眺望のいい場所にある。
 〝ハの字〟に置かれた一対のソファに立花が座り、次いで伊鈴も右側のソファに腰を下ろした。

(こんな素敵なところに、いつもひとりで来てるのかな……)

 先ほどの鮨店といい、このホテルといい、日常的に足を運ぶような場所ではない。
 それに、いつもの席と案内されたここも、ひとりで過ごすよりは相手がいるほうがしっくりする気がする。


「十河さん、お酒はどれがいいですか?」

 立花がメニューを開き、勾玉の形に湾曲したガラステーブルに置く。
 しかし、伊鈴はじっくりとメニューを眺め、結局飲み慣れたカクテルから選ぶことにした。

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