24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
「仕事を頑張る女性は、とても素敵だよ。俺は、男の目を気にして隙を作るような人を、魅力的だなんて思ったこともないな。それに、失った恋を想って泣ける女性は無条件にかわいいし、次はきっといい恋ができるよ」
「……私なんか、誰もかわいいって思ってくれませんよ。会社でも取引先でも、気を使わなくていいから楽だって言われたことがあるんですから」
今日までの2年を振り返れば、女性として、そして彼女として愛してくれたのは拓也しかいない。
他の誰かに言い寄られたこともないし、同じ仕事をしても、かわいらしい同僚の方が褒められたりしていた。
それでも、気にしなかった。
自分には拓也がいたから――。
「俺が今、話しているのは、とても素敵な女性だと思ってたんだけどな……違う?」
伊鈴は返事に困ってソルティドッグを飲み、涙を一緒に喉へ流す。
悲しみも切なさも、悔しさもなにもかも、全部、全部。