24時間の独占欲~次期社長が離してくれません~
「思っていたよりもずっと深く、彼のことが好きだったって気づいたから、つらい?」
「……そうかも、しれません」
また、目頭を押さえて涙を拭っていると、立花が髪を撫でてきた。
拓也以外の男性にされたら、間違いなく気分が悪いはずなのに、立花だけは少しもそう思わない。
むしろ、ささくれ立ったり、無数に穴が空いてしまった心を、そっとそっと宥めてくれるような気がした。
「十河さんは、いい女だよ」
「そんなことないです……」
いい女だなんて言われたことがない。
都合のいい女にはならないようにしようと思ったことはあるけれど、立花が言った〝いい女〟がそういう意味ではないことくらい、伊鈴にもわかった。
「俺が勝手にそう思ってるだけなら、いい?」
にこっと笑ってみせた立花の口元に視線が移る。
下唇の右下に、小さなほくろを見つけた。それが、どうにも色っぽくて、見惚れてしまう。